『ブラック・スワン』(10)『ザ・ホエール』(22)のダーレン・アロノフスキー監督衝撃のデビュー作。数字に取りつかれた男の妄想を超感覚的に描き、サンダンス映画祭で絶賛されたカルト作品が、A24によりデジタルリマスター版でスクリーンに蘇る︕
主人公マックス・コーエンの挑戦と同じように、デザイナー落合剛之は『π〈パイ〉 デジタルリマスター』のキービジュアルデザインに挑んだ。ダーレン・アロノフスキー監督の衝撃のデビュー作であり、A24がデジタルリマスターした本作のデザインといえば、かなり熱い視線が注がれることは予想でき、そのプレッシャーは半端ではない。結果、バリエーション豊かで数々の個性あるデザインが生み出され、そのアザーデザインを見ることでデザイナーの生みの苦しみも垣間見ることができる。目の前に立ちはだかる記号“π”と膨大な数字3.14159265358979323…のカオスに飲み込まれつつも奔走し、そして突如、【狂気】は鮮烈に覚醒し、最終版のデザインへとたどり着く。
以下はデザイナー落合剛之からの各デザインに対するコメントとなる。
【A】目を開いた主人公の表情をアップで使用し、狂気に飲まれ「覚醒」していく様を表現しています。
【B】数列の研究に没頭し取り憑かれていく様をグラフィカルに表現しています。
【C】コンピューターが大量に並んでいる主人公の自室をモチーフに、狂気に飲まれ覚醒していく様と、場面が目まぐるしく変化していく特徴的な構成を走馬灯のように表現しています。
【D】主人公の表情と数列を組み合わせて、216桁の数字が持つ魔力に取り憑かれていく様を表現しています。
【E】216桁の数列に取り憑かれ、現実と幻想が曖昧になっていく主人公の様を、コラージュして表現しています。
そして、本作のキービジュアルとしてたどり着いた【最終版】がこちらのデザインになる。
「劇中で象徴的なカットを全面的に使用しつつ、円周率の数列を入れ込むことで、主人公が狂気に取り込まれていく様を表現しています。」
【狂気】と【覚醒】を漂わせ、インパクトあるタイトルロゴとキャッチコピーなどの配置。見るものの目の動きなども考えた結果の見事な構図で映画を表現した。
円周率 3.14(木)
ホワイトシネクイントほか全国順次ロードショー